「は、ぁっ」
息を吐く。ひどい圧迫感に意識が朦朧とする。目の前の金髪が動く。無意識に掴むとキスを仕掛けられた。苦しい。くぐもった声が出た。口を離され、また奥を突かれて声が漏れる。
真っ白になっていく頭の中で俺は考える。今日俺は何度死んだだろうか。頭の横に置かれた男の手に触れる。今だってこいつはすぐに俺を殺せる。首を締める、頭を潰す。心臓を止めるのなんか簡単だ。男の長い指が俺の指と絡まる。サングラスをかけていない真っ直ぐな視線が俺に注がれている。
空いている方の手を自分の胸に当てる。
「なんで俺は生きてるんだろう」
整わない息のまま自分に問いかける。
ずるりと異物が抜かれる感覚がした。あれ、と思っている間に男が俺に覆い被さってきた。男の空いている方の手が俺の頬に触れる。まるで壊れ物に触るみたいな。
「なんで、」
俺、死んでもいいよ。全人類に分配してしまった愛の残滓をかき集めて言葉にする。そのまま俺を殺してよ。
「馬鹿が。」
涙の跡を長い指がなぞった。
ゆっくりとした動作で男が俺に体重を預けてくる。この重みで死んでしまえればいいのに。
男の背中に手を回すとそれが俺よりも熱い気がして、どうしようもなくなった。