※R18注意
可愛げの無いことなんて重々承知である。それでも俺がいいって言うんだからこいつは相当物好きだ、と俺は思うのだ。
(こんな場面で思うことでも、ないけど)
ぐっと奥歯を噛み締めて、俺は思い切り目を瞑る。無理矢理に息を止めたせいで喉から引き攣れたような音が鳴るのが聞こえた。瞼の裏が赤い。心臓の音が一瞬一瞬ごとに大きくなるような気がした。
「荒北、息」
耳元でそう言うのが聞こえた。と、思ったら直後に口に何かが突っ込まれる。驚いて目を開けると、真正面に福ちゃんの顔があってまたどきりとした。福ちゃんは指を俺の歯と歯の間に無理矢理割り込ませて口を開かせてくる。太い指が上顎を撫でたせいでどっと唾が湧いた。滑りが良くなったからか、俺が噛まないのに気を良くしたのかは知らないが福ちゃんはそのまま指で俺の舌を掴んだり撫でたり歯茎を撫でたりしてしばらく遊んでいた。ちょっと抗議の気持ちを込めて俺が睨んでも福ちゃんは別段怯むこともない。それどころか機嫌よさそうにわずかに目を細めてみたりするのだ。口を閉じられないせいで涎は垂れ流しだし、鼻水は出てくるわで俺の顔なんかどんなことになってるかもわからないのに。本当にこの男は物好きだ。
軽く爪を噛んでやると彼はすぐに俺の口から指を引き抜いて顔を寄せてくる。口元に垂れていたらしい唾液を福ちゃんの分厚い舌が舐めとっていく間俺は中途半端に捲り上げられたままのタンクトップを気にしていた。福ちゃんの顔が一瞬離れた隙に上半身を浮かせて体からタンクトップを引き抜く。さっきまで焦らすみたいな触り方しかしてこなかったくせに、素肌があらわになった途端躊躇無く触ってくるのはなぜだろう。削ぐように鎖骨を甘噛みされてぞくりと首筋が震える。
「口でしたい」と言うと、福ちゃんは押さえつけていた俺の肩から手を退けてベッドの上で膝立ちになる。福ちゃんの脚と脚の間から抜け出して、今度は俺が福ちゃんを押し倒す。ほんの一瞬だけ不安そうに福ちゃんが瞳の奥を揺らす。いつだったか「食われそうだ」なんてことを言われたことがあるのを思い出した。可愛いなァと低く俺が笑うと福ちゃんは眉を寄せて、意地が悪いと俺をなじる。趣味が悪いのはお互い様だ。膝で緩く福ちゃんの股間を押さえながら下唇に噛みつくと、ジャージの下で形がはっきりしていくのがわかった。身体の上に倒れ込んで唇を合わせる。そうしながらからかうみたいに太股で擦ってみたりしていたが、そうして遊んでいるうちに福ちゃんからの反撃が始まる気配がして俺は降参するように身体を起こした。
膝立ちになって後ろに下がって、それから俺は四つん這いになって頭を下げる。福ちゃん以外には見られたく無い格好だ。まるで犬が餌でも食べるみたいな姿勢で鼻先を近付けて嗅ぐと、くすぐったかったのかわずかに彼の腰が動いた。口元だけで笑いながらジャージの前をぐいとずり下げてやると福ちゃんのはしっかりと形を持っている。
「オレで興奮するとか福ちゃん趣味悪ィね」
片手でそれを掴んで、軽く揺らしながら俺は上半身を起こした福ちゃんを見上げる。「お前だからだ」と福ちゃんが言ったのに満足して俺は手を離して代わりに顔を下げる。
「趣味が悪いのはどっちだ」
違いない。福ちゃんの声に俺が喉を鳴らして笑うと福ちゃんもつられて低く声を立てた。俺はその声が好きで、つい見上げてその顔を見たくなったが福ちゃんの手が髪を撫でてきたからそれは諦めることにした。
舌を差し出して先走りを舐める。そのまま舌を根本まで添わせていって膨らみも舐め上げた。鼻先を埋めるようにして舌で何度も玉を撫でながら時折竿に頬ずりする。福ちゃんの匂いがすると思うだけで自分のものも重くなる。ハァ、と吐いた息がひどく熱くて思っているよりもずっと自分が興奮していることに気が付いた。
湧いてきた涎を行儀悪く舌先から竿に垂らして、それを塗り広げるみたいに舌で辿っていく。福ちゃんのはでかいから一往復するのも時間がかかる。それに加えてわざとゆっくり口元を動かす。それに対して福ちゃんはしばらく耐えていたが、ややもしないうちに焦れったくなったのか手が俺の髪を軽く掴んできた。
先端を口に含む。わざと音を立てて啜ると口いっぱいに独特の味が広がっていく。俺はそれを飲み込んで、それからさらに頭を下げて福ちゃんのを口に飲み込んでいく。先を頬の内側に擦り付ける。息を吐くために口を開いたら端から涎が漏れた。福ちゃんの手が俺の耳元に触れていた。くすぐられてそれが気持ちよくて目を細める。
ずず、と鼻を啜る。夢中になっていたせいでたぶん顔はひどいことになっているだろう。綺麗に出来ることでもねえし、と開き直って俺は一度口を離してごくりと唾と汁をまとめて飲み込む。それからまたくわえ直して、今度は一気に喉元まで突っ込んで上顎で擦るみたいにしてしゃぶる。ちょっと苦しいがこれが一番気持ちいい。顔ごとというよりもほとんど上半身ごとみたいに動かしていると、俺の髪を掴む福ちゃんの指の力が強くなっていく。ぐっと押さえつけるみたいに福ちゃんの手が力を掛けてくる。上半身がさらに低く沈んだせいでシーツに胸が擦れる。気持ちいい。いつの間にかそれぐらいしか考えることが出来なくなっていた。夢中で頭を動かす。口の中のものがどんどん張りつめていくのがわかった。
福ちゃんが低く呻く声がして、すぐに口の中に注ぎ込まれる。勢いよく出されたものだから俺は少しむせそうになって慌てて顔を持ち上げる。ずるりと口から福ちゃんのを抜きながら、福ちゃんが息を吐くのを聞いていた。俺はわざと口を開いて福ちゃんを見上げた後、ニィと笑ってから口の中のものを飲み込んでやる。伸びてきた手が俺の口元と、それから鼻の下を拭っていった。
「キスは?」
「…今は不味いだろ」
「味わえよ。自分のだろ」
身体を起こして福ちゃんの首をひっつかむ。彼がわずかに目を伏せるのを見て俺はこっそりとほくそ笑んだ。抵抗しないあたりやっぱりこいつは趣味が悪いのだ。